宵越しの得失点差は持たぬ

2019YBCルヴァンカップグループステージAグループ第5節
北海道コンサドーレ札幌 0-4 横浜F・マリノス
得点者:札/なし
横/松原健(16’)、李忠成(59’)、イッペイシノヅカ(68’)、山谷 侑士(78’)

リーグ・カップ戦含めてここのところ6連勝、その間叩き込んだゴールは15と、まさに破竹の勢いで勝ちを重ねている札幌は、神戸戦での逆転勝利の余勢を駆って、ホームに横浜F・マリノスを迎えてのカップ戦となります。

今季のルヴァンカップ、開幕から2戦は「なんとか勝点を拾った」格好の札幌でしたが、その後湘南ベルマーレとV・ファーレン長崎に快勝して勝点を伸ばし、トータル8でグループリーグ首位に立っています。この試合に勝てば無条件でグループリーグ突破が決まります。

ここのところの好調さ、そして相手は先日リーグ戦で圧倒した横浜F・マリノス、ホームゲーム。となれば、ここで勝って突破を決めて、最終節は若者パラダイスで左うちわ…なんて考えていたのですが、そんな妄想はあっさり打ち砕かれました。

ジェイとアンデルソンロペスをケガで欠く中、FW登録の選手で普通にFWで使ってるのってあとはもう鈴木武蔵くらいしかいないのですが、ここからのアウェイ連戦を考えれば、彼は休ませておきたい。今更ガースーを前で使う気はミシャにはないでしょうし、それは藤村も同じ。となると岩崎くらいしかいないのですが、ミシャの出した回答は「FW早坂」。

もともとは前目の選手ではありますし、札幌は伝統的に背の高い(185cm以上の)FWが多いのであまり目立ちませんが、早坂さんも身長183cmとけっこう背は高いですし、戦術把握能力も高いということなんでしょうけど。わかるんですけど、最近は便利屋っぷりに拍車がかかってますね。言うなれば、和食にも洋食にも中華料理にも合うサッポロ黒ラベル。そう、早坂良太選手は黒ラベルな男なのです。☆のついたジョッキが似合う男。是非ともちょっと場末感のある居酒屋に、スーツ姿でいてほしい。

とはいえ、さすがにこのポジションは本職ではないためか、前線からのプレスがさっぱりハマらず、マリノスに好きにボールを回され、序盤から劣勢に立たされます。開幕2戦のようにGK菅野孝憲の奮闘によりなんとかしのぎますが、前半16分、松原のシュートがブロックした菅に当たってコースが変わり、さすがにこれは名手菅野でも反応できず。1点を先制されてしまいます。

神戸戦では先制されても逆転勝利を収めましたが、この日のメンバーではあんこうチームのいない大洗女子がサンダース大付属に挑むようなもんでしょう。どう見ても練度と経験が不足しております。点を取れるとしたら「福森でどっかん作戦」くらいしかありませんが、それでも取れるとしたらせいぜい1点くらいでしょう。

となると札幌としては、これ以上の失点は絶対に避けなければいけないところ。前半はしのげたのですが、後半14分に李忠成にゴールを決められてしまいました。

この時点で札幌としては、あわよくば1点でも獲れればいいけど、0-2で終わらせるのが最優先事項、名付けて「なんとかこのまま作戦」くらいしか取れる道がなかったと思うのですが、ミシャはそうじゃなかったようで、なんとベンチに入れていたチャナティップとルーカス・フェルナンデスの2枚を同時投入。え、今更? 入れるとしたら後半頭からじゃないの? ミシャってたまにこういうぶち切れ交代やりますよね…。イメージとしては全盛期の海原雄山みたいな、「このチームを作ったのは誰だあっ!」という感じ。あなたですけど。

それでもせめて引き分けまで持って行くことができたならまだその意味もあったかも知れませんが、この後立て続けに2点を入れられ、0-4で終了。

この日の厚別は選手たちの吐く息が白くなるくらいの気温でしたので、ただでさえ故障の多い中で、選手に筋肉系の故障がなければいいなぁと思っていたのですが、イヤな予感は的中するもので、チャナティップはこの試合で腿を傷めてしまい、結局次の松本山雅戦の欠場を余儀なくされてしまいました。結果論ではありますが、言わんこっちゃないとしか言いようのない結末。ギャンブルで負けを少しでも取り戻そうと虎の子の福沢諭吉に手をつけて、結局は野口英世が1枚きりになってしまったようなオチで、グループリーグ突破どころか、ため込んだ得失点差も景気よく払い出してしまったのでした。