2017年組

2017年にヴィッセル神戸から北海道コンサドーレ札幌へ移籍し、2018年に退団してブラウブリッツ秋田に移籍した田中雄大選手の引退発表がありました。これであの年にやってきた移籍加入選手のうち、すでに引退した横山知伸さん、今季引退した早坂良太さんと石川直樹さんに続き、4人目の引退選手となります。

2017年というのは、我々サポーター含めて、コンサドーレに関わる人たち全てにとって、特別なシーズンだったと思います。

2016年、第41節ジェフ千葉戦での劇的な逆転勝利から、最終節のツエーゲン金沢戦での明鏡止水な引き分けでつかみ取ったJ1の目標は、とてもシンプルに「何が何でも残留」でした。

「18チームのJ1で上から15番以内に入ること」

こう書くと大したことのないように思えるかもしれませんけど、2008年、2012年と、残留「争い」すらさせてもらえないほど異次元の弱さを誇った札幌のクラブとサポーターにとって、それがどんなに大変なことかは骨身にしみています。

サッカーに限ったことではありませんが、プロスポーツで一番ものを言うのは「お金」です。スーパーな助っ人を連れてくることも、日本代表クラスの選手をたくさん抱えることも出来ます。お金があればなんでもできる。

もちろん、予算の少ないチームが並み居る強豪を抑えて優勝するとか、逆にどことは言いませんけど70億円くらい人件費かけてるのに、17億円の札幌より下の順位に沈む、なんてパターンもありますけど、基本的にはお金持ってるチームのほうが強いです。

逆に言えばお金がなければ上に行くことはなかなか難しいわけで、2016年の当時のコンサドーレは、「J2ですら中位くらい」という資金力しか持たないチームでした。そんなチームがJ1にやってきた。過去2度の当時の史上最速記録を更新した惨状も鑑みれば、それはもう圧倒的降格候補とされるのも、まぁ仕方のない話。

実際、気持ち悪いくらいチーム愛を連呼していたアカデミー出身の生え抜き選手が、J1チームからのオファーにあっさりと移籍していったくらいですからね。誰とは言いませんけど。

そんなチームにわざわざ移籍してくるなんて、相当の覚悟を持っていなければできないことでしょう。それでも来てくれた2017年の加入組。もちろん赤黒のユニフォームを着た選手はいつだって大事な選手達なのですが、その中でも「J2に一番近いチーム」をあえて選んでくれて、悲願だった「J1残留」に貢献してくれた選手たちは、オレにとってはみんな神なのです。

札幌にいた当時は渡辺いっけいさんによく似ていた田中雄大選手でしたが、引退のリリースを見ると、だいぶナイツの塙さんに寄ってきてますね。今後の道はわかりませんが、また縁があったらうれしいなぁ。低い弾道のクロス、好きでしたよ。