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2013年12月26日

残った残った

2013年J2第40節
コンサドーレ札幌 1-0 ヴィッセル神戸
得点者:札幌/レ・コン・ビン
     神戸/(??? ? ???)いないよ!

 「残り1つも負けられない」という、福本豊さんなら「まず4つ勝たないかんね」という状況におかれたコンサドーレ札幌は、そのまず1つめであるジェフユナイテッド市原・千葉に勝利。正念場であるヴィッセル神戸とのホームゲームを迎えました。残り3試合という段階に来てもガンバ大阪との熾烈な首位争いを繰り広げているヴィッセル神戸とは、第3節というかなり早い段階で対戦し、0-1で敗れています。スコアこそ最少だったものの、全体として力の差を見せつけられる試合でした。札幌のプレーオフ進出の道に立ちはだかる最後の、そして最大の壁と言えるでしょう。でもだからといって怯んではいけません。壁は壊せるものだと9人組のスクールアイドルも歌ってました。
 で、その壁なんですが、この試合が始まる前に勝点70で3位の京都サンガFCがガンバ大阪に敗れ、残り試合を全勝しても現在の神戸の勝点79を上回ることが不可能になったため、この試合の結果に関係なく神戸のJ1昇格が決定。なんか何にもしてないのにちょっと壁壊れた気がする。

 札幌としてはもうやりきるしかない状況。持てる力を存分に使ってぶつかるしかないのですが、間の悪いことにFW内村圭宏が累積警告で出場停止。ここまでリーグ3位タイの15ゴールを挙げているエースを欠いた状態で難敵に挑まなければなりません。しかし、そんなことくらいでへこたれていては、サポーターにもレ・コン・ビンのおかげでついたスポンサーにも申し訳が立ちません。今季最後の山場に選ばれたメンバーは、トップに前田俊介、サイドに荒野拓馬とレ・コン・ビン、トップ下に宮澤裕樹、ボランチ河合竜二と深井一希、4バックは右から日高拓磨、奈良竜樹、チョソンジン、上原慎也、GK杉山哲。この11人でえんたーえんたーみっしょんすることになります。

 戦力の差は歴然ではありますが、試合は意外にも札幌のペースで進みます。札幌は前線からの激しいプレスで神戸に余裕を与えません。おお、こんなにやれるとは思わなかった。なんか1トップのマエシュンまでうっちーらしからぬ積極的な(当社比)プレスをかけてるじゃないですか。
 神戸もおそらく普段のチームならここまで動きが鈍いこともなかったと思いますので、その辺はやっぱりああいう形で昇格が「決まってしまった」のは、少なからぬ影響があったのかも知れませんね。もちろん、札幌も春先からはチームとして成長しているというのもあります。とはいえ、「これ90分持つのか?」というような飛ばし気味な試合展開に、若干心配もつのります。主導権を握っているうちに先制ゴールが欲しい。そんなサポーターの願いが通じたのかも知れません。通じた相手は、池内明彦主審でしたけど。
 36分、コーナーキックからのこぼれ球に反応した河合主将が、やけっぱち気味のミドルシュートを放つと、ボールは一直線にゴールには向かわず、ブロックに入った神戸選手の手に当たります。場所はペナルティエリアの中。正直、これでハンドを取るか取らないかは主審によって分かれると思うのですが、池内主審は取るほうだったようです。札幌にPKが与えられました。
 ペナルティキックは誰の邪魔も入らない絶好の先制チャンスではありますが、しかし「決めて当たり前」だからゆえに、キッカーには恐ろしいプレッシャーがかかります。しかも、絶対に落とせない試合で明らかに格上の相手に、喉から触手が出るほど欲しい先制点のチャンス。ホームサポーターの期待は、何よりも大きく、何よりも重い。そんな状況でペナルティスポットに立ったのは、自ら志願したレ・コン・ビンでした。
 ベトナムの英雄には、このくらいのプレッシャーなんて屁でもないんでしょうね。これまでペナルティーキックを蹴る前から絶対に外さないと自信を持って思えた選手は札幌では俺王様だけですが、レ・コン・ビンは「絶対に決める」という気迫というんでしょうかね。コースそのものはGK徳重に読まれていたんですが、それでも触れないコースに触れないスピードで蹴り込みました。
 待望の先制点を決めた札幌は、その後は多少落ち着いた展開を見せるものの、守りに入ることなくマエシュンがちょこざいなドリブルを見せたり、ちょこざいなイエローをもらったりしていつもの通りに前半終了。

 後半は開始から、さすがにこのままでは終われない神戸の攻撃に晒されます。札幌も後半は疲労からだいぶ運動量も落ちてきていたのですが、神戸も神戸でアウェイではずいぶん手を焼かされた助っ人3人がいまいちピリッとせず、効果的な攻撃を繰り出すことができません。結局、FWマジーニョとMFポポは18分に揃って交代。ところがそこから10分も経たないうちに交代で入ってきた松村が負傷して交代してしまいます。ゲームプランがさらに狂ってしまった神戸に対し、札幌は守備陣は集中を切らさず身体を張ってゴールを許しません。
 それでもヤバいシーンがなかったわけでもなく、あわやPK献上かというシーンもありましたが、今日の池内主審はいつもと違って札幌に有利な判定。有り体に言えば、「ついにデレた」といった感じですね。だって前半のPKは「どっちかといえばPKには見えんなぁ」というのをPKして、「どっちかといえばPKだよなぁ」という札幌のファウルは見逃してくれましたし。完デレですよ。こういう時もあるでしょう。長いものには巻かれる主義です。まぁ次会ったらまたツンツンしてるかもしれませんけど。

 札幌も数こそ少ないものの、マエシュンがちょこざいなループを狙ったり、レ・コン・ビンと交代で入ってきた岡本賢明が惜しいシュートを放ったりしますが追加点は奪えず。29分には疲れの見えた深井一希に代えて進撃の巨人(若干奇行種)を投入。さらに荒野拓馬に替えて榊翔太(豆柴)を投入と、可能な限り人間色を薄めた布陣にシフトして果敢にゴールを狙いますが、徳重のファインセーブに遭ったりしてやはり追加点は奪えません。それでも終了間際に神戸MFエステバンが、既にイエローカードをもらっていたのをわかっていた上で、「もうやってられないぜ」的な2枚目のイエローカードをもらい退場。これでほぼ神戸の攻撃の手がなくなりました。
 それでもラストのワンプレイで混戦から危うくゴールに押し込まれそうになったところを杉山がなんとか止め、試合終了。千葉、神戸と続くキツい2連戦を2つともものにし、プレーオフ進出へ大きく前進したのでした。

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