2013年J2第37節
コンサドーレ札幌 3-1 モンテディオ山形
得点者:札幌/日高、砂川、内村
山形/秋葉
ここにきての連敗で10位にまで順位を落とし、6位V・ファーレン長崎に勝点6の差をつけられてしまった札幌。理論上は相手が2連敗し、こっちが2連勝すれば追いつける数字ではありますが、世の中そんなにうまくいくもんではないっつーか、上位のチームにそんな負けを期待するってのも、何かを期待して美少女の捕虜の脱走を手助けするカツより虫のいい話です。サッカーでは残り試合数が勝点差を下回ると逆転はほぼ絶望的、というのが定説で、それに倣うとこの試合を含めてあと6試合で勝点6差というのは、プレーオフ圏内に行けるかどうかの、まさに崖っぷちであります。
そんな中で迎えたホームでのモンテディオ山形戦。山形も札幌と同じく勝点51で、得失点の差で札幌より上の9位につけていますが、状況的にはほぼ同じ。つまり、札幌と山形、どちらか負けたほうは事実上脱落、後に残るのは「可限全(可能性がある限り全力を尽くす)」という、開闢以来何度も聞いたけどついぞそれがかなった試しのない幻の呪文を詠唱するだけですからね。デスマッチなわけです。
そんな感じでだいぶ切羽詰まっている感じですが、前節ザスパクサツ群馬戦では深刻なボランチ不足に起因するシステムの大幅な変更でちぐはぐなままいいとこなく敗戦したものの、リーグ戦の合間に行われた天皇杯3回戦で、控え組中心のチームがJ1ジュビロ磐田を1-0で撃破。ほとんどの主力を休ませることができた上に、群馬戦で電光石火の退場となった河合竜二の出場停止も天皇杯で消化され、この山形戦には出場可能となり、雰囲気は決して悪くない感じ。河合さんが戻ったことで日高ももとのサイドバックに戻ることができ、中盤から後ろはいつものメンバー。前線はフェホがベンチに下がり、内村圭宏の1トップにトップ下マエシュン、サイドには砂川誠とレ・コン・ビンという布陣。
試合は立ち上がりは五分五分でしたが、徐々にホームの札幌がペースをつかみ始めます。25分、敵陣深くで得たフリーキックからのクリアボールを、宮澤やマエシュンがミドルシュートを面白いように相手に当ててたら、何となく相手のクリアミスを誘ったらしく、再び奪ったボールを左サイドから砂さんがクロス。これを中央に残っていた日高が頭で合わせて先制点をゲットします。
これで主導権を握った札幌が押し気味に試合を進めますが、こういう時にスコーンと気が抜けるくせは相変わらず。37分、相手のロングスローからのこぼれ球をクリアしきれずに相手に奪われてしまい、秋葉勝にミドルシュートを決められて同点に追いつかれてしまいます。まぁ確かに「相手から奪ったボールを単にクリアするのではなく、味方につなぐ」というのは大事なことですし、クリアするだけではいけないのは間違いないのですけどね。とはいえ、危険なゾーンでのプレーにおいては、周囲の見方の状況まで判断してプレイの選択ができるようにしてほしいです。難しいとは思うのですけどね。オレだってお姉ちゃん口説くのに相手のゾーンに入ってから押すのか引くのかの判断はいつも難しいですもの。まぁうまくいった試しなんてありませんけどね。というか相手のゾーンに行けることすらありませんけどね。そんな感じで前半は同点のまま終了。
前節までの札幌のチーム総得点は52得点。リーグ6位とそこそこ攻撃力はあるほうなのですが、チームが若いせいもあるのか、「どうしても点が欲しい時に取れない」ことが多いんですよね。まぁどうしてもとかそれ以前に点が欲しくない時なんてないですし、「どうしても点が欲しい時は点が取れる」チームなんてあんまりないと思うんで、「それっぽいこともっともらしく言ってるけど、それって別に普通じゃね?」なんて気もしないでもないのですが、まぁ要するにノってるときはあっさり点を取るのに、相手にガッツリ守られている時(リードを許してる時)はそこをこじ開けるほどの力はまだないってことですね。自分たちの形ができている時は滅法強いけど、相手のペースにはまると妙に焦ってしまったり、逆に大事に行きすぎて手詰まったりって感じになっちゃうんですよね。
そういう意味では、16分の砂さんのフリーキックはかなりチームを助けたと言えるものでしょう。山形GK常澤が完全に誰かに合わせてくるのに決め打ちしてたこともありますけど、得意な位置からゴール隅に(珍しく)正確に(壁に当てることなく)叩き込んで再びリードを奪いました。
さらにその4分後、うっちーが相手のGKへのバックパスに猛然と突進。切り返しで交わそうとした常澤のフェイントを読んでボールを奪うと、いったんはバランスを崩すものの、すぐに立ち直って落ち着いてゴールに入れてダメ押し点を奪いました。まぁうっちーがよく突っかけたというプレイなんですが、それにしても相手のことながらGKはちょっとお粗末なプレイでしたね。なまじ足もとに自信があったのが災いしたんでしょうか。杉山さんが同じことやったらサポーターは怒り狂うかもしれないなぁと思いましたが、そもそも杉山さんはボール持って切り返しなんてしないと思いますね。
2点のリードを得た札幌はイケイケ状態で山形を攻め立てますが、決定的なチャンスをいくつか迎えるもいずれもものにすることができず。この辺はまだまだ課題だなぁと感じますが、ひとまず試合はこのまま逃げ切り3-1で勝利。何とかプレーオフ戦線に踏み止まることができたのでした。