2013年J2第30節
コンサドーレ札幌 3-0 愛媛FC
得点者:札幌/前田、内村、フェホ
愛媛/いない
ガンバ大阪とのアウェイゲームで軽くひねられてから中2日、コンサドーレ札幌は今年最初で最後のホームでの平日ナイトゲームを行います。ムですが、場所はナイトゲームにも関わらず厚別公園競技場。以前も書いた通り、厚別には照明設備がないため、ナイトゲームは原則できないのですが、どうしても必要な場合は照明車を配備して試合を行うことがあります。札幌ドームができてからはナイトゲームはドームで行うことが多くなりましたが、札幌ドームが使えない時は照明車の出動となります。でも同じ札幌ドームをホームとしている日本ハムも、この日は確か楽天ホームでの試合だったはずですが…。メンテかなんかでしょうかね。
まぁとにかく今では割とレアとなった厚別ナイトゲームの相手は愛媛FCです。第18節のアウェイ戦では、上里の直接FKで先制したものの、赤井秀一、石井謙伍の連続ゴールで逆転を許し、後半も河原にだめ押しゴールを食らい、その後松本怜大のプロ初ゴールで1点差にまで詰め寄るものの、ちぐはぐなまま2-3で敗れています。
ただ愛媛にはアウェイではめっぽう弱いもののホームではまだ1度も負けたことがありません。おまけに札幌戦ではむやみに張り切る赤井・石井の道産子コンビは揃っていません。赤井はベンチスタートで、石井に至っては遠征メンバーに入っておらず。いやー残念だなー彼らをすりつぶした上で勝たなければいけないのになー。ほんと残念だわー。
そして札幌は、ガンバ戦後に体調の異常を訴えて病院に搬送されたフェホが、さすがに大事を取ってベンチスタートとなり、さらにDF日高が欠場となったものの、長らく戦列を離れていた河合主将がようやくベンチ入り。ワントップに前田俊介、左サイドバックに松本怜大がスタメン出場となりました。
試合は開始からホームの札幌が主導権を握ります。特に元気だったのがフェホに代わってスタメン出場したマエシュンこと前田俊介。もともと「天才」とまで称される高いテクニックを持つ選手でありながら、プレイにムラがあるせいか、今まで所属したどこのチームでも「不動のレギュラー」とまでは行っていないのですが、この日のマエシュンは「札幌の夜は俺のものだぜ!」とばかりに躍動。ボールを持てば何かが起こるといった感じで、マエシュンのドリブルと上里のロングパスでご飯3杯行けそうなくらいです。そして前半30分、相手ペナルティエリア近くでボールを受けたマエシュンは、ペナルティエリアのラインに沿うような感じで中に切れ込みながら左足でこすり上げるように放ったシュートは、懸命に手を伸ばす相手GKをあざ笑うかのように鋭い弧を描いてファーサイドのネットに吸い込まれました。まるでそこだけ時間が止まったかのような美しいシュート。こういう形のシュート、2001年の博多の森で俺王様が決めてましたけど、あれもすごかったなぁ。こういうシュートを決めるから諦められないのですよね。
マエシュンのレインボーなゴールで先制した札幌は、その後も何度かチャンスを迎え、前半終了間際にはコーナーキックから相手のクリアミスを見逃さず、鋭い反応で内村圭宏が押し込んでゴール。好調な攻撃陣とは裏腹にやや守備面で不安定なところが見られていただけに、チームにとっても大きな大きな追加点をゲットし、前半を終了します。
後半、愛媛はたまらず赤井を投入します。しかしホームで2点をリードした札幌は余裕の展開。守備もだいぶ落ち着きを取り戻し、愛媛の攻撃はいずれも単発に終わります。週中の試合で日曜日には水戸への遠征を控えていますから、なるべく力をセーブしつつ試合を終わらせる必要があります。というわけで、財前監督は23分には早くもマエシュンを下げ、嫌がらせのようにフェホを投入、34分には上里を下げて河合主将を入れ、上里の温存と河合さんの試合勘取り戻しを狙いました。いくつかチャンスを迎えながらも得点を奪うことができないながらも、2点のリードを保ち試合は終盤へ。残る交代枠はあと一つ。こうなるともう、アレですよね。そう、ベトナムの英雄、グエン・ヴァン・チョムの出番です。ついったでこのネタかましたら案外知らない人が多くて、自分の常識は他人の常識ではないということを思い知ったわけですが、トンキン湾の人食い虎ですよ。愛機はサンダーチーフですよ。最初は人を人と思わないクズみたいな描かれ方だったのにいつの間にか仲間思いのナイスガイになってたあの人ですよ。まぁそれはもういいですね。はい、レ・コン・ビンの出番がついにやってきました。
ユニフォームを裏表逆に着るというお茶目をやらかし、内村と交代で後半40分にピッチに入ってきたレ・コン・ビン。あまりボールは回ってこなかったものの、さすがに一国の英雄と呼ばれるだけの選手、わずかな時間でしっかり結果を残しました。43分に得たコーナーキックのプレースキッカーを任されたレ・コン・ビンの右足から放たれたボールは、1点目のマエシュンのシュートにも劣らない鋭いカーブを描き愛媛ゴール前を強襲。そのボールにいち早く反応したフェホが高いヘディングでゴールに突き刺し、とどめのアシストを決めました。
怪我人も少しずつ戻ってくる中で、何かチームがかっちりと噛み合ったような感じの勝利。目標のプレーオフ出場に向けて、何かが大きく変わっていきそうな試合でした。