2013年J2第28節
コンサドーレ札幌 2-0 横浜FC
得点者:札幌/フェホ、三上
横浜FC/なし
久しぶりのホームゲームの生観戦です。といってもいろんな事情で昔ほど試合に行けなくなってしまったので、生観戦自体実は開幕戦以来なんですが、去年の夏の帰省では試合が移動と重なって行けなかったので、ホームゲームも2年ぶりとなります。娘はまだ厚別に行ったことがないので、2人で行くことにしました。
札幌は前節カターレ富山に負けて6位の徳島ヴォルティスとの勝点差が6に開き、目指すプレーオフ圏内からまた少し後退してしまったのですが、この試合の前に「ベトナムの英雄」レ・コン・ビンを獲得、ベトナム初のJリーガーの誕生に、にわかに盛り上がりを見せ、ぶっちゃけ富山戦のことなんてみんなきれいに忘れました。そのレ・コン・ビンの登録もぎりぎり間に合い、この試合でベンチ入り。ベトナム人選手が初めてJのピッチに立つ歴史的な瞬間を見るためか、厚別では今期最高となる8,756人が集まりました。ちなみにそれまで厚別で動員が一番多かった試合は、第16節水戸ホーリーホック戦の8,590人。みんな好きなんですね。凍傷が。
なお、その試合が行われた5月26日はオレの誕生日でした。ハタチ(22年連続22回目)を迎えた日にコンサドーレがプレゼントしてくれたものは、とても残念な試合でした。ま、本厄だしな。
まぁそんなことはとっとと忘れることにして、前節の布陣ではさすがに上里ひとりの負担がえらい大きいことを悟ったか、今節は素直にゴメスこと堀米悠斗がスタメンに名を連ねました。前線はワントップにフェホ、トップ下内村圭宏は変わらず、サイドは砂川誠と三上陽輔、つまり快勝したガイナーレ鳥取戦の布陣に戻したということですね。DF陣はここしばらく固定していたものの、センターバックのチョソンジンが出場停止のため、櫛引一紀が第20節FC岐阜戦以来8試合ぶりのスタメン出場となります。
横浜FCは現在勝点31で15位とプレーオフ圏内争いからもやや脱落した感じですが、実績のある選手が揃っており決して侮れません。そういえば西何とか選手っていませんでしたっけ。いないんですねきっと。
この日、厚別にしては珍しくそれほど風はなく、絶好のコンディション。春先はひどい状態だったピッチも、スタッフの努力のたまものか、夏を迎えだいぶよくなってきたようです。そしてフェホもだいぶ慣れてきたらしく、試合は開始からホームの札幌がペースを握る展開になりました。ヘディングはあまり得意ではないといっても、2メートル近い身長なら落下点に入りさえすればほぼ間違いなく空中戦には勝てるわけで、「いざとなったらフェホめがけて蹴ればいい」というのはけっこう安心感があるのでしょうね。フェホ自身、ヘディングはそれほど得意ではないようですが、それでも他の選手と比べて頭一つ違う身長があれば相手より先に触ることは充分可能なわけで、相手にとってはいやな選手であることは確か。もっとも、それに頼りきりになるのもどうかという気はするのですが、武器があるなら使うというのもまた心理。その「武器」を封じられたときに第二第三の必殺技があればいいのです。ジャンプだと主人公以外が必殺技を使うと、たいてい死にますけどね。武天老師やアバン先生とか(まぁ実際は生き返ったり、実は死んでませんでしたというパターンなのが常ですが)。
で、そういう意味で「いるだけ」でも文字通り威圧感のある選手なのですが、やはりFWの助っ人である以上は得点という目に見える形での実績が必要なのも道理。とはいえ、これまでの所属クラブでも、少なくとも記録を確認できる範囲では点を取りまくっていたというわけでもなさそうで、またここまでの札幌でのプレイを見る限りは、ことさらにストライカータイプというわけでもなさそうな感じ。それでもあの身体があれば、J2ならそこそこ点は取れるだろうと思っていたら、そのゴールは目の前で生まれました。21分、縦パスにうまく身体を使って相手と入れ替わったフェホはドリブルでゴール前に突進。その身体からはあまり想像できないスピードに某進撃のアニメに出てくる巨人の姿を重ね合わせていると、あれよあれよという間にゴール前へ。そのまま右足を振り抜くと、ボールは逆サイドのポストに当たってゴールイン。待望のJリーグ初ゴールをゲットしました。
流れとしてはどちらかのペースというほどでもなかったのですが、こういう「流れとは関係ないところで奪ったゴール」というのは相手にとっては引きずってしまうものなのか、このゴールをきっかけにペースは札幌に傾きます。とはいえ、ここで追加点を取れれば楽に進められたのでしょうけど、肝心なところで決定力を欠き、前半は1-0のまま終了。
サポーターとしてはもちろん勝利以上に望んでいるものはないわけですけど、その一方でやはり新戦力のプレイもみたいというのもまた正直な気持ちです。特にそれが「ベトナムの英雄」とまで称される選手ならなおさら。とはいえ、つい先週合流したばかりでコンディション面でも万全ではないでしょうし、ろくに戦術練習もしておらず、ピッチ上のコミュニケーション面にも不安が残る、となれば、少なくとも現時点では拮抗した試合では使いにくいというのは、頭では理解しています。しかし、見れるなら見たい。だったら3-0くらいになれば出番もあるよね! じゃあとっととあと2点取ってくれや、というひどい贅沢をふかすのもサポーターの性なわけです(開き直り)。
しかしそうはいっても横浜FCだってむざむざそんな相手のセレモニー的な展開に持って行かれるのをよしとするはずがなく、後半は横浜FCペースとなりました。後半10分には早くも電池切れで足を攣らせたフェホ(※ポルトガル語で「鉄人」という意味)に交代して前田俊介を投入しますが、高さでのアドバンテージを失った札幌の攻撃は単発で終わるようになり、押し込まれる展開が続きます。17分には魅惑の助っ人クロス・バー選手までが出動するピンチを迎え、肝を冷やすシーンも。
札幌もその後は何度か惜しいチャンスを作り出しますが、すんでの所でクリアされたりシュートがむしろクリアだったり、26分に砂さんに代えて榊翔太を投入しており、残る交代カードは1枚のみとなりましたが、この流れではとてもじゃないけどレ・コン・ビンを出せる状況ではありません。ましてや西岡のヒーローも。結局最後の交代はFW内村に代えてDF松本怜大を投入、逃げ切り重視の交代となるのもやむを得ず、新戦力のお披露目もないまま1-0で終わると思われた後半アディショナルタイムでした。相手の裏にわんわん言いながら抜け出した榊翔太が、飛び出してきたGKにかみつきそうになりながらも後ろ足でループシュートを放ちます。ボールはゆっくりとゴールに吸い込まれ…るかと思いきや、戻ってきた相手DFがぎりぎりでクリア。さっき内村さんのシュート同じようにクリアされたので、また同じような感じかと思ったのですが、このボールがクロスバーに当たって真下に落ちてきました。ここに詰めていたのがベテラン三上陽輔。相手DFと交錯しながらちゃっかりと押し込んでリードを奪いました。
にしても、これで三上は今季3点目ですが、そのいずれもがださいゴール。ジャストミートしたシュートはだいたい枠の外に飛んでいくのに、ださいゴールだけはしっかり決めるベテランの一発で試合を決定づけた札幌が2-0で勝利。ホーム5連勝を飾りました。