2013年J2第23節
コンサドーレ札幌 3-0 アビスパ福岡
得点者:札幌/岡本、荒野 x 2
福岡/なし
アウェイ2連敗でせっかく五分に戻した成績がまた負けが2つ先行してしまった札幌。連敗でもなぜか順位は10位のまま、6位の栃木SCとの差もほとんど開かなかったのは幸いでした。今はとにかくこのあたりにくらいついていくことが重要です。最終的な順位がどうなるとしても、やっぱり「最後までやりきった感」は欲しいですからね。最後の最後までハラハラしたいというか、他のカードの結果も逐一チェックできる状況って割と楽しいと思うのですよね。順位を争うライバルの試合で、その相手の勝利を期待して負けた時に「なんだアイツら使えねぇな」って言うのは楽しいし、ライバルチームのサポーターに「なんだよ札幌勝ってんじゃねーよ」って言われるのも楽しい。それこそがJリーグですよ。
そういう意味では現在6位栃木SCと同じ勝点34で7位につけるアビスパ福岡が相手のこの試合はとても重要です。札幌の勝点は現在29で、その勝点差はわずかに5。充分に逆転可能です。もっとも、このあたりは勝点6の範囲に札幌と福岡を含めた9チームがひしめいているだんご大家族状況なので、ちょっとしたことで簡単に順位が覆ったりお歯黒べったりするんですが、それでもなるべく蜘蛛の糸に捕まりつつ周りを蹴落とさなければなりません。原作だとその結果みんな一緒に落ちていきますがね。いやアニメも内容同じですが。まさかアニメ化されていたとは思わなんだ。
さて、この試合エースFW内村圭宏と中盤の要であるボランチ上里一将が揃って欠場。ケツの場。河合さんも深井くんもまだ戦線離脱中となると、既に残っているボランチは堀米悠斗しかおらず、第6節ガンバ大阪戦以来のスタメン出場。そしてFWはチーム内では「温泉おじさん」として有名な弱冠21歳のベテラン三上陽輔を今季初めてワントップで起用となりました。スタメンフィールドプレイヤー10人のうち半分がユース出身。ユース過ぎて困っちゃう。別に困りませんけど。
そんなわけで試合は、結果としてこの布陣がうまくハマりました。前半12分、三上からのパスを受けた岡本ヤスがドリブルで中へ切れ込む得意の形で右足を振り抜くと、ボールはゴール隅に綺麗に決まり早速先制ゴールをゲット。これで試合を有利に進められるようになった札幌は、その後も惜しいチャンスを何度も作り出します。福岡の動きがあまりパッとしなかったこともあって、割と安心して見ていられる試合だったのですが、どっこい我々が応援しているのは他の何でもないコンサドーレ札幌です。これまでこういうふうに圧倒的に攻め込んでおきながら得点が奪えず、わずかなミスでの失点でリズムを崩して自滅というパターンで勝てる試合を落としてきたことなど、1度や2度ではありません。この試合は既に1点先制はしておりますけど、「札幌が強そうに見える時ほど信用しない」クセがついているよく訓練されたコンサドーレサポーターも決して少なくはないと思います。
ですので、出来れば前半のうちに追加点を取っておきたいと思っていたわけですが、そこで仕事を果たしたのが、MF荒野拓馬でした。プロ入りしてからここまでまだゴールなし…といっても彼はまだプロとしては2年目なんですよね。高校2年生でチーム史上最年少でプロデビューを飾り、3年時もトップチームに帯同してたのでユースをあまり見ないサポーターもずいぶん前から彼のことは知っていますし、最近はなんか営業のサラリーマンみたいな髪型にしてるのでついうっかり忘れがちですが。同様に三上も高校生の頃にデビューしてるので忘れられがちですが、荒野のひとつ上です。まぁ彼の場合は見た目が既にベテランの域に達しているのであまり気にしなくてもいいと思いますが。
で、その荒野が前半38分に、ユースの先輩だった松本怜大からのアーリークロスに合わせて見事なボレーを決め、貴重な追加点をゲット。プロ初ゴールに気をよくしたのか、前半アディショナルタイムにはヤスからのパスにDF競り合いながら、飛び出してきたGKの上をふわりと抜く技ありのループシュートでプロ2ゴール目を決めました。最初の契約取るのに時間がかかったけど、ひとつ取れたらすぐに次の契約も取れた営業サラリーマンという感じですね。すすきのへ行こう。
そんなわけで前半だけで3点リードという思ってもない結果で、後半はそれほど無理して戦う必要がなくなりました。となれば、財前監督としては追加点狙いをするよりも、貴重な実戦でのテストの場とすることを優先したようです。後半25分には前半からすっ飛ばしまくってさすがに疲れの見えたルーキー堀米悠斗に替え、右足首の手術で長らく戦列を離れていた前貴之を投入。35分にはベテラン砂川に替えて榊翔太をピッチに放犬。そして39分には荒野に替えて前田俊介を投入しました。
福岡も後半になってからはだいぶ持ち直してきたことで前半よりは相手にボールを持たれる時間も増えたものの、2段階目に進化して超ソンジンとなったソンジンがうまく守備をコントロールし、福岡のゴールを許さず。39分にはいやがらせのように投入されたマエシュンが福岡の守備陣をいやがらせのように引っかき回しますが、何度かあったゴールチャンスもマエシュンは自分よりも三上にゴールを決めさせたかったようで、全てのパスを三上に集め、三上は三上で「施しなんて受けねぇぜ」とばかりにキレイに外したりして追加点ならず。まぁそんな感じで収穫の多い試合は3-0の完勝と相成ったのでした。