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届いたもの、届かなかったもの

2019YBCルヴァンカップ プライムステージ ファイナル
北海道コンサドーレ札幌 3-3(PK4-5) 川崎フロンターレ
得点者:札/菅大輝(10’)、深井一希(90’+6’)、福森晃斗(99’) 川/阿部浩之(45’+3’)、小林悠(88’、109’)

先週からのオレは、もうルヴァンカップファイナルのことばっかり考えていました。まぁ、金曜日に行われたリーグ戦のセレッソ大阪戦があんまり振り返りたくない試合だったということもあるんですけど、初めての舞台に対して、それはもう目に見えておだっていたわけです。

しかし、何しろ決勝戦の相手は川崎フロンターレ。リーグ優勝2回を誇る強豪チームというだけでなく、ご存知の通りリーグ戦では未勝利、カップ戦含めても1回しか勝ったことがない最悪な相性のチーム。もっとも、準決勝の川崎の相手はこちらもまた今まで1回しか勝ったことがない鹿島アントラーズでしたから、どっちが出てきてもあんまり変わらなかったのですけどね。ラオウが出てくるかトキが出てくるかの違いくらいしかない。

そんな状況をわかってはいても、どうしても勝ちたい。タイトルを獲りたい。そのためなら何でもはしませんけど、僕のからだなんか百ぺん灼やいてもかまわない思いでした。いやもう、昔の人のように目につくものなんでも吉兆にして、勝てると言い聞かせていたわけですよ。娘がポストのところでヤモリを見たと言えば吉兆(練馬区にもヤモリはいます)だと信じ、痔(持病←痔だけに)が悪化すれば、これはスタジアムが赤く染まる暗示だ! とか、もう無理矢理にでもこじつけたりしてました。もし瓶子が倒れてたら、それも吉兆だと騒ぎ立てて、調子に乗ったどっかの坊主がその首を落としていたに違いありません。

さて、完売までは行かなかったものの、ホームからも相当な数のサポーターが来場すると予想されるこの試合、「前で応援したい」と申しつけるうちのJCのわがままに応えるべく、前日シート貼りに参加するため、朝早くに家を出て、わざわざ埼玉スタジアムまで行ってから出社するというエクストリーム通勤を敢行。

なお天気は土砂降り。カッパを着ていくか悩みつつも、あとあと邪魔になってしまうことを嫌って、結局着ていかなかったのですが、完全に判断ミスでした。スタジアムに着いた時点で、濡れてないのは上半身くらい。当然靴の中もすでにかなりの浸水が進んでおり、いわゆる「ずくずく」状態です。荷物が増えたとしても、濡れてもいい格好(長靴含む)で来て、あとでスーツに着替えるってのが正解でした。まさかここまでひどい天気だとは。これはもう浦和の陰謀としか思えません。この恨みはすべて浦和にぶつける!(※相手は川崎)

でだ。そんな悲惨な状況でも、8時20分頃に現地に着いたときには、すでに50人以上の人が並んでるわけですよ。最悪でも30番くらいには入れるかな、と思ってたのに、そんなどころじゃないです。気合い入りすぎでしょ、この人たち。

結局自分の番号は62番でした。9時になり、運営の手際の悪さと、雨の中でのガムテ貼りに苦労しつつ、なんとか場所をキープし、濡れ鼠のまま出社。その濡れっぷりたるや、道端で震えてたら心優しいヤンキーが拾ってくれるくらいのレベルだったと思います。たまたま見たヒロインがキュンとしちゃうヤツ。

まぁそれでも、北海道からやってくるホームサポーターに比べればかわいいもんだったみたいです。折からの悪天候で飛行機が遅延し、それでもJAL様が執念で飛行機を飛ばしてくれたものの、到着が深夜に及んだり、欠航して別ルートでの移動を強いられたり、そもそも来られなくなってしまった人も多かったとか。

それもこれも、勝っていれば笑い話になったのでしょうけどね…。

ガースーのゴールで先制したときも、このままでは終わらないだろうと思っていましたから、追いつかれるのは織り込み済みでした。まぁ時間帯は最悪でしたけど。

ただ、後半終了間際に小林悠のかぎりなくハンドくせえゴールで逆転されたときは、さすがに心が折れかけましたね。ただ、ここであきらめたら何のためにゴール裏に来たのかわからなくなるんで、このまま終わったとしても後悔だけはしないようにしようと、さらに声を上げて応援しました。周りの声量も上がってたので、同じことを考えてた人も多かったろうと思います。

だから、最後のコーナーキックの時も、不思議と決まる気がしていたんです。札幌が優勝するとしたら、こんなマンガみたいな試合展開に違いないと。本当にゴールが決まって、決めたのが深井一希だったことを知ったときは、自然と涙が溢れてきましたけど、まだ勝ったわけじゃないし、穴という穴から水分を出すのは、勝ったときにしようと気持ちを切り替えることにしましたね。すでに尻からは血が出てましたけど。

延長前半にゴール前で直接FKを得たときも、「ガースーと深井というアカデミー出身の生え抜き選手が決めて、元川崎の福森がとどめを刺す」なんて、マンガでも「いくらなんでもちょっとご都合主義ですよね!」と言われかねない展開ですけど、この時の自分はマジで札幌が優勝するとしたらそんな展開以外にありえないとすっかり信じ込んでいたので、当然この福森のFKも決まると信じ込んでいました。で、実際本当に決めてしまいました。

だったらもう勝つしかあんめえ! と声の限りに応援したつもりですが、延長後半にどうやらまた小林悠に決められてしまった模様。川崎側のサイドだったのでよく見えなかったけど、川崎のGKがももクロの百田さんみたいな喜び方をしてたので、決められたことを把握。

そこから先のことはあまりよく憶えていません。PKも車屋が外した時点で99.9パーセント勝利を確信したのですけど、相手のももいろクローバーGKのほうが一枚上手でしたね。まぁ、ほんの一枚くらいな。北海道新聞様の紙くらいの。

不思議と涙はほとんど出ませんでした。もしかしたら泣きたかったのかもしれませんけど、先んじて号泣してた隣のJCを見て、ちょっと冷静になったのかもしれません。

それでも気を取り直した娘は挨拶に来た選手たちを出迎えに最前列に行っていたんですが、コンサドーレコールで選手を送り出した後、さらに号泣しながら戻ってきました。選手の悔しそうな表情を見て、悔しさが再び湧き上がってきたのかと思って声をかけようとしたら、

「ソンユンが(私に)サムアップしてくれたー!!!!」

嬉し涙かよ!!! 忙しい女だな!!!!

つーか、推しから爆レスもらって号泣なんて、ただのガチオタクじゃん。血は争えないとは思うけど、父は藤井ゆきよさんに爆レスもらっても泣きはしませんからね!

まぁそんな感じで自分は泣くタイミングを逸してしまったわけですが、それは優勝の時まで取っておくことにします。準優勝がこんなに悔しいものだというのも、我々がこれまで見たことがなかった景色なんですよね。

弱小だった時代が長かったぶん、負け犬根性が染みついてしまい、「どうせプロビンチアですから」と卑屈になってた我々に、「タイトルを獲りたい」と口に出してもいいんだと教えてくれたのはミシャです。今度は我々「オールコンサドーレ」が、ミシャに「見たことのない景色」を見せてあげたい、そんな気持ちを新たにしました。