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祝・2019開幕

2019明治安田生命J1リーグ 第2節
浦和レッドダイアモンズ 0-2 北海道コンサドーレ札幌
得点者:浦/なし 札/鈴木武蔵(2’、27’)

開幕戦となった湘南ベルマーレとのアウェイ戦を落とし、現役外務大臣に煽られることとなった我らが北海道コンサドーレ札幌は、今季初勝利を目指し浦和レッズとのアウェイ戦に臨みます。

この時期はまだ雪が深く残る札幌では練習ができないため、「キャンプをしたままシーズン突入」というのが例年の習わし。当然試合だって実施できませんから、2月開幕が常となった昨今のJリーグでは、「開幕2試合はアウェイ」というのも定例化しています。この時点で結構はハンディキャップ。もっとも、キャンプ地の熊本を拠点にしている以上、ホームだろうがアウェイだろうが移動距離的には大して変わらない(むしろ熊本から北海道へ行くほうが大変)ので、それよりも大きいのが精神的な負担ですね。

「キャンプが長ければその分チーム戦術を熟成できる」と思われそうですが、実際のところは開幕が近くなればそれほど練習の負荷は上げられないので、練習時間はそんなに多くは取れません。ということは練習してない時間のほうが長くなるわけですが、集団生活じゃプライベートなんてあってないようなもんですから、やれることも限られてきます。自宅ならくつろげるし、家族とちょっとお気に入りの場所に出かけるとかもできますが、キャンプだとそれは難しいので、リフレッシュしきれないというのは、ジェイもインタビューで触れている通りです。

我々だって、身体は元気だけどなんとなくやる気が沸かない、なんて時もあるわけで、逆に気分が充実していると、身体が多少疲れていても作業が捗るなんてこともありますからね。もっとも、気力が充実しすぎて「もう何も怖くない」まで言ってしまうと、頭をぱっくりされてしまうこともあり得るわけですが。

そんなわけなので、コンサドーレが開幕ダッシュに失敗することに対して、毎年我々は「ホーム開幕まではプレシーズンマッチ」という負け惜しみにすらならない負け惜しみをいつも吐くわけですが、案の定今年も開幕戦を落とし、さらに2戦目の相手は天皇杯優勝チームと、組み合わせにも恵まれてません。まぁ、コンディションが万全だったとしても勝てるか怪しい相手だし、この状況で昇格組と当たって足もとをすくわれたりするよりはいいかな…なんて後ろ向きに思っていたわけですが、何と2-0で快勝できるとは思ってませんでした。

正直、浦和の新戦力があまりフィットしておらず、お世辞にもあまり良いとは言えない出来だったことは確かですが、ホーム開幕までに勝点3をゲットできたのは僥倖ですし、内容的にも浦和相手のアウェイ戦で、「守ってカウンターが奏功」ではなく常に主導権を握って相手を圧倒できたことは、今後の大きな自信になることでしょう。

得点者はいずれも鈴木武蔵。開始わずか2分でアンデルソンロペスからの浮き球パスをDFの裏で受け、見事なトラップから左足でゴールゲットをすると、27分にはチャナティップからのスルーパスをこれまた左足で冷静に決めています。一瞬で相手を置き去りにするスピードは、さすがウサイン・ボルトを生んだ国をルーツに持つだけありますね。

その割には、ルーカスフェルナンデスの突破からの折り返しのパスに、「外すほうが難しい(by解説の中田浩二さん)」というシュートをゴール上にぶっぱずすなど、まだまだ発展途上というかなんというか。ああいうところをきっちり決められれば、代表だって狙えると思いますよ。

開幕戦では何度も狙い澄ましたように裏を取られ、「今年も失点は減りそうもないな…」と感じた守備陣も、浦和に決定機はほとんど与えず。まぁ浦和があんまり裏を狙ってこなかったというのもあるのですけど、唯一危なかった興梠慎三のシュートも、守護神クソンユンが左手一本のファインセーブで防ぎ、今季初勝利を無失点で飾りました。

さて、鈴木武蔵は今季V・ファーレン長崎からの新加入選手ですが、そもそも彼が札幌に来ることになった経緯というのが、エースストライカーだった都倉賢がセレッソ大阪に移籍したため。で、セレッソがその都倉を獲得した理由は、杉本健勇が浦和レッズへ移籍したから。まぁ元を正せば浦和のせいと言っても過言ではないのですが、その杉本は今季ゼロックススーパーカップを含めて3試合に出場して未だに得点はおろかシュートすらゼロ、鈴木武蔵は2得点の大活躍ということで、むしろ浦和には感謝しなければいけないのかも。

もっとも、杉本がきたことで余る形になった武富孝介が湘南に帰り(※浦和からの期限付移籍)、開幕戦でその武富に2ゴールを食らって負けたのが他でもない我らがコンサドーレなので、いいことばかりではありませんでした。ただ、そう考えると今のところこの一連の芋づる移籍で一番損をしているのって、実は浦和なのでは…という気がしますね。

さてこの試合、前節からスタメンを多少いじり、鈴木武蔵とルーカスフェルナンデスが初スタメンとなったのですが、前述の通り武蔵2ゴール、ルーカスもボールを持ったら何かしらやってくれそうな気がしますね。特に相手のみならず自分すら置き去りにするドリブルはヤバかったですね。いい意味で。一方で、ボールを持ったら自陣ゴール近くでもドリブルで突っかけようとして奪われるのもヤバかったです。悪い意味で。

とはいえブラジルによくいそうな、「ドリブルうまいけどどこへ行くかわからないマン」ではなく、ちゃんと味方の位置も把握して必要とあらばパスを出しますし、パスを出した後もしっかりスペースに走りますし、キックも正確なので、相手に脅威を与えそうな予感はしますね。

荒野も何か憑き物が落ちたかのようにいいプレイを見せていましたし、チャナティップも縦横無尽に動き回ってチームの攻撃の核になってましたし、あと深井一希のダンプカーっぷりが凶悪さを増しましたね。彼はきっとイニエスタすらぶっ飛ばすつもりなので、チームは自動車保険をかけておいたほうがいいのではないかと思いました。

なお、湘南戦でどう見ても意図的で擁護のしようのないハンドリングをかましておきながら、「前足であった」という岡部拓人主審の寛大な措置により退場ではなく警告で事なきを得た進藤亮介選手は、この試合でも後半43分に警告を受け、早くも累積2枚目。リスクを承知で攻めだるまになってるので仕方ないといえば仕方ないのですが、ちょっとペースが速いですね。右のセンターバックは手薄なので、試合前に「俺に任せておけ」と言わんばかりのどや顔をするのはいいのですが、それでカジュアルにカードを集めるのは勘弁して欲しいので、もう少し慎重に守っていただきたいと思うばかりです。