明治安田J2リーグ第9節(2025年4月12日・ケーズデンキスタジアム水戸)
水戸ホーリーホック 3-1 北海道コンサドーレ札幌
前節徳島ヴォルティスに劇的な勝利を収めた札幌は、今節ケーズデンキスタジアム水戸でのアウェイ戦となります。今年最初の関東圏での試合で、オレ自身も今季初めての現地観戦となりました。水戸での試合自体もずいぶん久しぶりなのですが、過去の水戸戦はひたちなかとか笠松だったので、実は水戸市陸(ケーズデンキスタジアム水戸)って初めてだったりします。カミさんからの「セイコーマートのゆずハイボールを買い占めてこい」という指令を預かって、娘と息子を引き連れて遠征してきました。
あんまり振り返りたくない試合なのですが、振り返りますね。
前半風上に陣取った札幌は、その風を利用して試合開始早々から水戸陣内に攻め込み、久しぶりスタメンの田中克幸のシュートがゴールポストを叩くなど、前節の勢いに乗れてそう…などと思ったのもつかの間、相手スローインからの流れで奥田晃也にゴールを決められて失点。試合開始からたった4分間の出来事でした。電光石火の失点力。
ちなみに、データによると札幌は「前半15分までの失点が多い」らしいです。確かに千葉戦とか愛媛戦とか甲府戦とか早い時間に決められてますけど、たぶんそれは集中力の欠如とか試合の入り方とかじゃなくて、たまたまですよね。だって、立ち上がりとかアディショナルタイムとか関係なく、90分間いつだって失点する用意があるってだけですもん。
だってねえ、この1失点目だって、相手のスローインでのリスタートという、普通に準備できてる状況からの流れですよ。改めて見直してみたら本当にひどい。ひどいポイントを順に挙げていくと、
- スローインを受けた#6飯田貴敬選手に浮いていたカッツが行こうとしないので、ボールが入って初めてりょーちんがなんとなくケアに行く(なんで?)
- ただしりょーちんは本来スローインを入れた#7渡邊新太選手を見るべきだったのに放してしまったので、ここで高嶺主将が2人見ることになる(なんで?)
- 高嶺主将が渡邊選手をケアしたために#39山本隼大選手がフリーとなる(そらそうよ)
- フリーの山本選手にくさびのパスが入ってターンしたことで、慌ててとーやとバビーが2枚でマークに行く(なんで?)
- しかもただボールに飛び込んでいくだけなので、結局奪えず山本選手に2人とも置き去りにされる(そらそうよ)
- ドリブルで侵入してきた山本選手の前にいたカッツはなぜか内を塞ぐこともせず進路を空けてしまう(なんで?)
- カバーに戻ってきたとーやがあっさりフェイントに引っかかって中への侵入を許す(これは相手が巧かったのもある)
- #44奥田晃也選手を見ていた西野くんはこの時点で渡邊選手にマークをスイッチしていたが、高嶺主将はそれに気づいておらず、フリーの奥田選手を見ていない(なんで?)
- 結局その奥田選手がパスを受けてあっさり抜け出し、ニアハイをぶち抜かれる(そらそうよ)
ちなみに、計ってみたらスローインが入ってからゴールネットが揺れるまで、わずか15秒でした。その間にこれだけの「なんで?」と「そらそうよ」のオンパレードが繰り広げられたわけですから、失点するのも当たり前。シュークリーム食べたら反対側から生クリームが出てくるくらいの当たり前。火を見るよりも明らかです。
じゃあどうすればよかったんだって話ですが、最初のスローインの時点でカッツは#10前田椋介選手を見ていたと思うので、カッツが飯田選手のマークにつこうとすれば、フリーとなった前田選手に出されてしまいます。それは悪手ですし、飯田選手がスローインを受けた場所はゴールからだいぶ遠い、かつライン際の位置ではありましたので、そこから一発で盤面が不利になることは考えにくい。ならば、りょーちんは無理して詰めようとせず、渡邊選手を高嶺主将に任せて、山本選手へのパスコースをケアすることを第一優先とすべきでした。
まぁこれはこれで結果論でしかないよねってのは承知の上なのですけど、基本的にサッカーの守備って、ボールを奪うというよりは、「相手の選択肢を奪うのが主眼」だと思うんですよね。そのために有効なパスコースを塞いだり、カバーのいる方向に誘導したりとか、そういう連携をするのが守備ってもんでしょう? そういうのが何にもないんですよね。もう開幕してから今までずっと。これからも、きっと。
かろうじて「高い位置でボールを奪う」くらいはあるらしいんですけど、肝心の「ボールをどう奪うか」の方法論がまったくない感じ。恋人ができれば毎日が楽しくなるよ!って言われてもさ、じゃあまずさ! どうやったらさ!! 恋人ができるのか教えてくれよ!!! って話じゃないですか。
ひょっとして、「J2なんて軽くプレッシャーかければちょろっとミスしてくれるだろう」みたいなこと考えてません? 今時のJ2なんてそんな簡単にミスしてなんてくれないですよ。実際、闇雲にプレスをかけては、当たり前のようにいなされてマークはずらされ続けてバッドエンドするか、ロングボールを蹴らせたところで、特に最終ラインに空中戦強い人が揃ってるわけでもないし、そもそもプレスが連動してなくてラインが間延びしてるので、セカンドボールの回収に失敗してバッドエンドするか、どっちかじゃないですか。
かといって前線から追うのを諦めたところで、結局のところ組織的な守備戦術もない、いわばオールコート・ザルなんで、相手陣内のボールからシームレスにこっちのピンチになるみたいなシーンばっかじゃないですか。そのくせこっちは普通にミスするじゃないですか。どうなってるんですか。海は死ぬんですか。山も死ぬんですか。
前半のバビーのレッドカードだって、相手への接触のあるなしにかかわらず、あの勢いで足裏見せてアフターで行ったらそら一発退場するやろという感想しかないのですけど、あんな別に頑張らなくてもいいところであんな一か八かみたいなプレイしたのも、「とにかく頑張れ」以外のこと言われてないからじゃねえの? なんて邪推しちゃいますよね。アマドゥさんの相手GPへのアタックも危なかったし。
守れないならその分得点取れればまだいいですけど、守備に約束事がないチームが攻撃に約束事なんてあるはずもなく、たぶん見てる感じ「ポケットを取れ」くらいしか言われてないと思うんですよ。そのポケットをどう取るかは自分たちで考えろ…みたいな感じなんじゃないですかね。だいたい何だよポケットって。叩いたらビスケットでも出てくるのかよ。
11人いてもろくに連携できないチームが、相手より少ない人数で連携なんてできるはずもない。結局誰かがドリブルで頑張るけど、相手がきっちり守ってるところに突っ込んで行っても、1人抜いたところでカバーに止められるだけ。バビーが退場した後にアマドゥさん外したためにロングボールはほぼ無意味となり、逆にこっちは前半終了間際に相手のロングボールには処理を誤って、さっくり2失点目。何とかクリンチで耐えてドローに持ち込む作戦もここで潰えることとなります。
一人少ない、後半は風下。いい材料は一つもないけど、それでも1点くらいなら事故とかで何とかなるかもしれない、と思ってたのに、あの後半の布陣は何なんですかね? 前半はミン様入れて3バックにして高嶺主将を中盤にしてたのをそのままやれば良かったのに、後半からなぜか高嶺主将を左CBに下げてましたよね。高嶺くんをそのまま中盤に置いてパイセンと組ませるのが妥当だと思ってたのに、入ってきたのは木戸くんで、相方はりょーちんと、攻撃にも守備にもメリットがなさそうな布陣。案の定、後半20分に広々とした中盤を蹂躙され、3失点目。これじゃ木戸くんも気の毒だ。
ここまでルヴァン含めて9試合やって、得点には何の再現性もないのに失点には再現性しかないという、そら勝てるわけないよねって内容しか見せられてないわけですけど、監督のインタビューとかコメント見てても、根本的な改善が全く望めそうにないところがキツいところですよね…。