2019YBCルヴァンカップグループステージAグループ第6節
湘南ベルマーレ 2-2 北海道コンサドーレ札幌
得点者:湘/菊地俊介(71’)、野田隆之介(90+2’) 札/ルーカスフェルナンデス(39’)、金子拓郎(48’)
前節マリノスに大敗を喫し、グループリーグ突破はならなかった札幌は、最終節に2年ぶりのプレーオフ進出をかけて、湘南ベルマーレとのアウェイ戦に臨みます。
前節札幌が負けたことにより、Aグループはこの最終節で「すべてのチームにプレーオフ進出の可能性がある」混沌状態となりました。その中でも引き分けでも進出が可能な札幌と横浜F・マリノスが若干有利ではありますが、前節は同じく引き分けでも突破確定という状況でボロ負けを喰らっています。リーグ戦を含めれば3戦連続でアウェイなので、決して楽観できる状況ではありません。
そんな最終節に臨む札幌ですが、必勝を期してスタメンに主力クラスを多く配備してくるかと思いきや、蓋を開けてみればFW岩崎、「ネコタク」こと金子くんを学徒動員するなど大胆なスタメンで、直前のFC東京戦にスタメン出場したメンバーは、DF福森晃斗、MFルーカスフェルナンデス、荒野拓馬の3人のみ。福森はカロリーを消費させる作戦として、ルーカスは2列目のオプション試行、荒野はミシャ式OJTということなんでしょうけど。そうするとどうしてマリノス戦で0-2になってから無理してチャナティップとルーカスを使ったのか、その辺は理解が追いつきませんね。まぁ今更言っても仕方ないことですが。
相変わらず苦しい台所事情の中、DF石川直樹とMF中原彰吾がケガから復帰したのは朗報です。ちなみに札幌のマスターピースというかワイルドカード・早坂良太さんは、本日はDFとしての出場。
対する湘南は、グループリーグを突破するためには最低限勝ちが必要。直前の浦和戦にスタメン出場した選手のうち5人がスタメンに顔を並べ、リーグ開幕戦で2ゴールを取られた武富孝介もスタメン入り。割と必勝態勢で臨んできました。
平日夜のルヴァンカップは、観客も多くない、つまり物好きしか来ない上に、ともすればスタジアムが殺伐となりがちなリーグ戦と異なり、どことなく「サッカーそのものを楽しむ」雰囲気があります。リーグ戦であれば(マイクの置き方などにもよるのでしょうが)サポーターの声援が聞こえてくるところが、この試合では「アラノォー! アラノォー!」という、牧羊犬に指示を出すかのようなミシャの声がよく響きます。牧歌的。
ルヴァン開幕当初は、ジェイがいたにもかかわらずだいぶ残念なプレイが目立ったこの前線メンバーですが、なんだかんだでミシャ式にもこなれてきたのか、ジェイ抜きながらもいい連携を見せるようになっています。それでもレギュラークラスに比べればしょっぱい感じではあるものの、成長の跡はうかがえます。特にワントップで起用された岩崎は、2列目に比べればタスク自体が減るせいか、いつもよりも積極的にボールに絡みます。
どちらかといえば札幌ペースと言えなくもない感じで進んだ前半39分、ボールを持ったルーカスが、突如何かを思い出したかのようにドリブルを開始し、ペナルティエリアに侵入。湘南DFはルーカスがお邪魔してくるとは思ってなかったのか、若干対応が遅れた隙を見逃さず、切り返して左足で打ったシュートはゴール隅に決まって先制ゴール。引き分けで充分な札幌にとって大きな1点が生まれました。
後半、ミシャは福森と先制ゴールを挙げたルーカスを引っ込め、キムミンテと菅大輝を頭から投入。戦術的にはメンバーを代える理由はありませんでしたから、これはおそらく当初から予定されていた交代でしょう。その後半開始直後の3分、ペナルティエリア手前でパスを受けたネコタクくんが、ドリブルでペナルティエリアに侵入、得意の左足を小さく振り抜いて放ったシュートがゴール右隅に決まり、プロ初ゴール。いや、正確に言えばまだプロにはなっていないので、インターンゴールですかね。
このゴールでずいぶんと楽になりましたし、結果的にもこのゴールは大きかったわけですが、この後の「試合の締め方」がよろしくなかった。後半9分、交代で入ったチャナティップより小さい155cmの山口和樹を荒野が倒してしまいPKを献上。
山口は明らかにPK狙いに来てましたし、掴んでもなかったので荒野にとっては気の毒な判定でしたが、やっぱり手を使って守るのは印象良くないですよね。これほんとなんとかならないのかな。
このPKは杉岡が宇宙へ打ち上げ事なきを得ますが、ここからはほぼ湘南ペース。札幌もゴール前を固めますが、逆にそれが災いしてしまったのか、クリアしてもセカンドボールを奪われてはまた攻め込まれる悪循環を招きます。そして後半26分、ついにという感じで湘南にゴールを許し、1点を返されてしまいました。
それでもまだ1点リードしているにも関わらず、札幌はさらにバタバタしてしまいます。先日の磐田戦もそうでしたけど、2-0を2-1にされてからの、ランチタイムの牛丼屋の店員みたいなバタバタ感はなんなんでしょうね。磐田戦では最終的に逃げ切ることができましたが、どっちかといえば相手のミスに助けられた感じで、去年の最終節では2-0から追いつかれてACL逃したみたいに、結局のところどうなるかは相手次第、みたいなところがありますよね。
で、最終的には後半アディショナルタイムにゴールを決められ同点に追いつかれます。札幌は引き分けでもかまわないので結果としてはこれでもオーライなんですが、2-0から追いつかれるってよろしくないですよね。サッカーでは「2-0は危険なスコア」と言われますが、実際の事例としては2-0にしたチームがそのまま勝つパターンが圧倒的に多いわけで、結局のところ「若者の凶悪犯罪が増えている」とか「深夜アニメの本数が増えている」とか、「隣の客はよく柿食う客だって、隣のお宅にとっては大きなお世話じゃね?」みたいな、印象に残るか残らないかの違いでしかないと思うんですけど、そんな悪いほうに印象に残ることはあんまりやらないで欲しいというのが正直なところです。ちなみに、少年犯罪は戦後減り続けていますが、深夜アニメの本数は実際アホみたいに増えてます。
ともあれ、2年ぶりのプレーオフ進出はおめでたい。前回はプレーオフでセレッソ大阪に負けてしまいましたが、当時はJ1昇格1年目。とにかくすべてのリソースを残留に全振りしてましたから、そういう意味では悪い言い方をすれば「負けてもオッケー」でしたけど、あれから2年経って、札幌も「普通のJ1チーム」になりかけている今年は、タイトルの獲得に向かって、プライムステージに進んでほしいものですね。
そのプレーオフステージは6月19日と26日。相手はジュビロ磐田です。