2019明治安田生命J1リーグ第8節
北海道コンサドーレ札幌 3-0 横浜F・マリノス
得点者:札/チャナティップ(4’)、福森晃斗(9’)、アンデルソンロペス(29’) 横/なし
前節アウェイでセレッソ大阪に勝利した札幌は、今節は札幌ドームに横浜F・マリノスを迎えてのホームゲーム。この言い回し昔から使ってますね。うん。またなんだ。すまない。
ひとまずは連敗を3で止めてほっと一安心といった札幌ですが、まだ黒星先行、得失点差もマイナス(3)です。出入りが激しいのはいつものことではありますけど、実はこの私には夢がありましてね。それは何かっていうと、最終的な得失点差がプラスであることなんですよね。実はコンサドーレって、J1のシーズンを得失点差プラスで終えたことがないんですよ。チーム史上最高位の4位でフィニッシュした昨季ですらプラマイゼロでした。
得失点差というのはその名の通りチームの総得点から総失点を引いた差ですから、当たり前の話ですが得点を取れば取るほど、そして失点が少なければ少ないほど大きくなります。強豪ひしめくJ1で相手から多く点を取りつつ、相手の攻撃をできるだけ押さえる、得失点差というのはその積み重ねですから、チームの実力が如実に現れる指標だと思います。傾向的にも得失点差のプラスが多いチームが上位にいますね。
なので、得失点差プラス、それもなるべく多くの差でシーズンを終えることができれば、その時の順位はともかく、未だにチームの強さに半信半疑な我々も、ようやっと「強いチーム」と認識できるのではないかと思うのですよ。そんなこととかいうな。お前らに「得失点差マイナス63」の悲しみがわかるってのかよ。これが気温だったらバナナで釘を打てる気温より低いんだぞ。もっとも、得失点差がプラスのままJ2に降格したガンバ大阪みたいな例もありますんで「得失点差がプラスなら順位は何でもいい」とは言いませんけどね。
さて、札幌のスタメンは前節と同じながら、この試合は守備時に4バックとする変則的なスタイルを採用。これにより、攻撃時はともかく守備時には明確に穴となっていたルーカスの背後のスペースを進藤がカバーできるようになります。このあたり、自らのスタイルにこだわりを持つ一方、それ以上に負けず嫌いなミシャの性格が見て取れますね。
試合は前半4分にカウンターからアンデルソンロペスのスルーパスに抜け出したチャナティップが、うまくキーパーとDFを交わして先制ゴールを叩き込むと、前半9分には鈴木武蔵が倒されて得たFKを福森が直接決めて追加点。去年の神戸戦の直接FKはめちゃくちゃインチキくさいゴールでしたが、今回は誰がどう見てもぐうの音も出ない素晴らしい弾道でした。
さらに前半29分、先述の通りルーカスのクロスをアンデルソンロペスが頭で合わせて3点目。これはサイドチェンジのボールをルーカスがどフリーで受けた時点でほぼ勝負ありでした。
そしてアンデルソンロペスはこれでゴールランキングトップに並ぶ6得点目。内訳が左足で2点、右足で2点、頭で2点となり、実にバランス良く点が取れてることになります。正直、こんなにオールマイティーに点の取れる選手だと思ってませんでした。何しろ、うちに今までいたブラジル人ストライカーって、俺王様とかエメとかフッキとかダヴィとか、一癖も二癖もあるというか、マリオカートでいえば俺王様がクッパ、エメがキノピオ、フッキがドンキーコング、ダヴィがワリオみたいな、ピーキーな感じの選手が多かったですからね。ストライカーの印象がそれに固定されちゃってるってのはあります。「あんますごそうに見えないけど実は結構すごい」ですねアンロペ。なんだかんだで足もともうまいし。
そんなわけで、カウンター、セットプレイ、そして完全に崩しきってのゴールと、理想的な点の重ね方で前半だけで3点のリードを得ます。本当にハマればとことん強いですねこのチーム。ハマらないと真逆のことされるけど。
こうなるとサポーターとしては後半にも大量ゴールを期待したいところですが、札幌としてはマリノスの高速サッカーに付き合う理由は全くなく、後半は徹底してリスク回避。まぁそりゃそうか。
とはいえ、この日一番元気だったルーカスは後半も大暴れ。守備タスクからある程度開放されたためか、後半も得点にこそつながらなかったものの、ほぼ単騎でいくつものチャンスを演出します。で、縦が空いてればゴールラインまですぐでも縦に抜く、縦を切れば中に切れ込む、どっちも潰すために2人で守れば間を抜いていくなど、手のつけられない感じ。ヌルヌルとしたドリブルで相手を交わす様は、まさにルーカス・ヌルナンデス。負傷退場した時は心配されましたが、どうやら影響はあまりなさそうでよかったです。
結局試合はこのまま終了。セレッソ戦に続く連勝で、得失点差もプラスマイナスゼロに戻しています。長い冬が終わり、札幌も暖かくなってきてこれから体も動きやすくなっていくでしょうから、ACLを狙うために勝点も得失点差も積み上げていきたいですね。
え? 前回「残留が目標」って言ってた? 言ってました。それが何か。いいじゃないですか。勝てば圧勝負ければ惜敗って外務大臣だって言ってましたし。
ちなみに、去年札幌でプレイしていた三好康児は、前節とは打って変わって万雷の拍手で迎えられました。彼の心づもりとしては今年も札幌でプレイする選択肢は充分にありながら、チーム的な事情もあって退団となったので、彼に悪い感情を持っている人はほぼいないと思いますが、ブーイングで発奮しそうな元9番には完全無視、ブーイングに萎縮しそうな山なんとかさんには心からのブーイングを敢行した札幌サポーターのこと、「三好はいい子だから無意識にでも手心が入る」ことを狙って拍手したのだったら、老獪な人たちですね。