2018年明治安田生命J1リーグ 第14節
FC東京 0-0 北海道コンサドーレ札幌
得点者:なし
2位と3位の上位対決…というのが、北海道コンサドーレ札幌の試合で使われる日が来るとは思ってませんでした。しかも、シーズン開幕当初のまだ混沌とした段階じゃなくて、リーグ戦も3分の1を消化した時点での話ですよ。ヒンナヒンナ。
相手となるFC東京はここ5戦で4勝と好調な上、そのうちの1勝は首位をひた走るサンフレッチェ広島からのもの。得点ランキングトップのディエゴオリヴェイラを中心に、リーグトップの21得点をたたき出しています。一言で言って強いです。
一方、札幌のチーム総得点もリーグ2位の20点。ちゃんと言っとかないと未だに信じられないというか、自分に言い聞かせてるようなもんなのですが、札幌も攻撃型のチーム。攻撃型チームというと、打ち合い上等というかバンザイ特攻というか山賊打線というかいてまえ打線というか、とにかく「守備を顧みずに攻撃にステータス全振り」みたいなイメージがありますし、実際札幌も開幕当初は3試合で7失点とかやらかしてましたんで仕方ないと言えば仕方ないのですが、13節終えた段階で両チームとも失点は13で、これはリーグ4位タイの少なさです。
なので、攻撃型ではあるものの、実はどっちも割と守備も固いほうです。広島の5失点というのが異常すぎるだけで。どんだけガード堅いんだよ。藤崎詩織かよ。
札幌は三好が累積警告で出場停止ですが、ケガで離脱していた大黒柱ジェイが復帰。ジェイ不在の間トップを務めていた都倉は三好の代わりに2列目に入り、いつでも物理で殴れる状態です。勝てば2位に上がる札幌と、悲願のリーグ優勝へ広島にこれ以上離されたくない東京、上位対決にふさわしいガチンコ勝負となりました。
お互いこの試合に合わせてよく相手を分析していたのでしょうね。両者とも相手のストロングポイントを消しつつ自らのストロングポイントを繰り出そうとする、一瞬たりとも気の抜けない試合。両監督やライターさんたちもこの試合内容を賞賛していたことからも、0-0ではあっても見応えのある試合だったことは間違いないでしょう。荒っぽいプレイも双方にありましたが、それでも試合が荒れなかったので、山本雄大主審がよくコントロールしてたと言えると思います。
つっても、勝てなかったことはやっぱり悔しいし、勝って2位に上がりたかったので、最後のとっくんのヘディングが決まっていたら…とも思うのですが、まぁ東京側にしてみれば室屋が1対1を決めていたら…と思うでしょうし、どっちのシーンもキーパーを褒めるしかないプレイだと思いますので、引き分けは妥当ですかね。
試合終了後、札幌相手にホームで引き分けに終わったにも関わらず、東京のサポーターが「You`ll Never Walk Alone」を歌っていたのも、もう相手チームが「札幌ごとき」とは思わなくなったってことなのかな…などと柄にもなく感慨深くなっていたところで、その次のルヴァンカップではきっちりと3失点を果たして真顔にしてくれる札幌さんです。「勝って兜の緒を締めよ」という言葉は確かにありますけど、ちょっと締めすぎじゃないですか。
ところで個人的な話になりますが、4月の浦和レッズ戦をDAZNで見ていた中学生の娘が、札幌サポーターの応援に感動して「私もあそこで応援したい」というので、ゴール裏に連れて行きました。
自分も久しぶりにゴール裏で声を出して応援しましたが、自分の知ってる頃より雰囲気が良くなってましたね。こう書くと若干語弊があるのですけど、だからといって以前の雰囲気が悪かったと言いたいわけではなくて、間違いなく成績のせいなんですけどね。だって、自分が最後にゴール裏に行った試合って、2012年のアウェイ川崎フロンターレ戦ですもん。そりゃアゲアゲできる雰囲気じゃないですもんね。
あの頃から比べると、クラブと選手とサポーターが同じ方向を見ていられるこの状況は応援のしがいがあります。でもそれだけじゃなくて、今の空気が醸成されているのは、きっと多くのサポーターが、あの辛く苦しかった時代を知っているからこそなんだろうと思います。
異次元の弱さの異名をほしいままにし、それでもどうしようもなくて自虐に走るくらいしか気持ちの持って行きようがなかった頃、そんなものが必要な経験だったとは思いませんけど、そういう時代を憶えている人たちが多いことは、この先もし多少うまく行かなくなることがあったとしても、そうそう軸がブレることはないのではないかと思います。だからといってルヴァンはどうなの? ねぇどうなの?
あ、娘は自ら進んでずぶ濡れになりながら90分間応援してました。ゴール裏デビューなのにチャントも普通に歌えてたのなぜなんだろう…。